【投稿日】 2026年3月17日
【この記事の主要キーワード】 年次有給休暇 義務化 5日、年次有給休暇管理簿 書き方、パート 有給 比例付与、有給 基準日 統一、時間単位年休

4月の新入社員受け入れを前に、今一度、自社の有給休暇制度を見直してみませんか?
働き方改革関連法の施行により、すべての企業で「年5日の年次有給休暇の確実な取得」が義務付けられています。従業員数に関わらず、すべての使用者に適用されるこのルールですが、「法律違反にならないか不安」「管理簿の作り方がよく分からない」といった疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
新入社員が入社から6ヶ月を迎えると、有給付与と同時に「年5日の取得義務」の管理もスタートします。このタイミングで管理体制を整えておくことが、トラブル防止の第一歩です。
社会保険労務士の視点から、基本ルールから管理簿の書き方・基準日の統一・時間単位年休の扱いまで、分かりやすく解説します。
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【この記事で解説していること】
- 年5日の取得義務の対象者・期間・罰則
- パート・アルバイトへの有給付与(比例付与)の計算方法
- 管理を楽にする「基準日の統一」と「計画年休」の活用
- 時間単位年休の導入方法と実務上の注意点
- 年次有給休暇管理簿の書き方と保存ルール
- よくある実務の疑問をQ&Aで解説
※本記事は2026年3月時点の法改正議論や提案に基づいた内容を含みます。
実際の制度変更は、今後の国会審議等により変更となる可能性があります。
年5日の年次有給休暇取得義務 基本ルールを整理する
義務化の対象となる労働者とは?
年次有給休暇が年10日以上付与されるすべての労働者が対象です。
正社員はもちろん、契約社員やパートタイム労働者も、付与日数が10日以上になれば対象となります。「管理監督者は対象外では?」と思われる方もいらっしゃいますが、労働基準法上の管理監督者も取得義務の対象となります。見落としのないよう注意が必要です。
通常の労働者(週5日以上・所定労働時間30時間以上)の付与日数
通常の労働者(フルタイム勤務など)には、入社から6ヶ月経過した時点で10日が付与されます。その後、勤続年数に応じて段階的に付与日数が増えていきます。
入社後6ヶ月の時点から「年10日以上」が付与されるため、正社員・フルタイムの契約社員は入社半年後から全員が、年5日取得義務の対象となります。管理漏れが起きやすいタイミングでもありますので、入社後のスケジュールに合わせた管理体制の整備が重要です。
いつまでに5日取得させる必要がある?
有給休暇を付与した日(基準日)から1年以内に、使用者が時季を指定して5日を取得させる必要があります。
ただし、労働者が自ら請求して取得した日数や、計画年休(後述)で取得した日数は5日から差し引くことができます。会社側が時季を指定するのは、あくまでも「5日に満たない分」だけです。
違反した場合の罰則
年5日を取得させなかった場合や、就業規則に規定を設けずに時季指定を行った場合、労働者1人につき30万円以下の罰金が科されるリスクがあります。
パート・アルバイトへの有給付与(比例付与)の計算方法
比例付与が適用される労働者の条件
週の所定労働時間が30時間未満で、かつ週の所定労働日数が4日以下(または年間所定労働日数が48日〜216日)の労働者には、勤続年数と所定労働日数に応じた「比例付与」が適用されます。
パートにも「年5日の取得義務」は発生するのか?
はい、発生します。繰り越し分を除いた当年度に新たに付与される法定の有給日数が10日以上になったパート従業員も、年5日取得義務の対象です。
例えば、週4日勤務のパートは入社から3年6ヶ月を超えると10日が付与されるため、そのタイミングから取得義務の対象となります。正社員と同様に管理が必要です。
有給休暇の管理を効率化する方法│基準日の統一・計画年休・時間単位年休
入社時期がバラバラだと、従業員ごとに基準日(付与日)が異なり、管理が煩雑になりがちです。以下の手法を活用することで、実務の負担を大幅に減らすことができます。
基準日の統一(全員を同じ日に揃える方法)
全社員の基準日を「毎年4月1日」などに統一する方法です。
同じタイミングで一括管理できるため、担当者の負担が格段に軽くなります。ただし、「入社と同時に年次有給休暇を付与する場合(ケース1)」や、「入社1年目は半年後に有給休暇を付与し、入社2年目からは4月1日で統一する場合(ケース2)」などは、法定の最低付与日数を下回らないよう注意が必要です。
計画的付与制度(計画年休)の活用
労使協定を締結することで、あらかじめ有給休暇を取得する日を決めておく制度です。
「休みを申請しにくい」という雰囲気の職場に特に有効です。一斉付与・交替制付与・個人別付与の3方式があり、自社の状況に合わせて選択できます。計画年休で取得した日数は、年5日の義務から差し引くことができます。
時間単位年休の導入と注意点
年に最大5日を限度に、1時間単位で有給休暇を取得できる制度です。通院や子どもの学校行事など、半日休みでは対応しにくい場面で従業員から喜ばれます。
導入には就業規則への規定と労使協定の締結(対象者・上限日数・1日の時間数など)が必要です。
【注意】時間単位で取得した有給は、「年5日の取得義務」のカウントには含められません。従業員満足度は上がる一方で、5日の義務管理は別途必要になります。実務で最も陥りやすい誤りの一つですので、十分にご注意ください。
年次有給休暇管理簿の書き方と保存義務
2019年4月から、使用者には「年次有給休暇管理簿」の作成・保存が法律で義務付けられています。
管理簿に必ず記載する3つの項目
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労働者ごとに以下の3項目を記録します。
【記載する3項目】- 基準日(有給休暇を付与した日)
- 日数(当年度に取得した日数)
- 時季(取得した具体的な日付)
この3項目を従業員ごとに記録し、3年間保存する必要があります。
※規定上の保存期間は5年ですが、当面の間は3年間とされています。

管理簿のフォーマットはどうすればいい?
専用の台帳を新たに作る必要はありません。既存の「労働者名簿」や「賃金台帳」に3項目を追記する形や、システム上での管理(Excel等)も認められています。必要なときに印刷・出力できる状態であれば問題ありません。
よくある質問(Q&A)
Q1. 時間単位の有給は「年5日の取得義務」にカウントできますか?
カウントできません。時間単位年休は年5日の取得義務の控除対象外と定められています。半日単位(0.5日)はカウント可能ですが、時間単位はカウント不可という点は実務でも混同されやすいため、特に注意が必要です。
Q2. 会社独自の「特別休暇」を5日にカウントできますか?
カウントできません。会社が独自に設けたリフレッシュ休暇や慶弔休暇などを取得させても、法定の年次有給休暇とは別扱いとなり、年5日の義務を果たしたことにはなりません。
Q3. 時季指定した日に従業員が勝手に出勤したら?
会社が労働を受領してしまうと、有給休暇を取得したことになりません。法違反を問われる可能性があるため、時季指定日には「出勤不要」である旨を事前にしっかり伝え、万が一出勤してきた場合も業務に就かせないよう徹底することが大切です。
まとめ:有給管理の見直しで、働きやすい職場づくりを
年次有給休暇の適切な管理は、法令遵守にとどまらず、従業員の心身の疲労回復・生産性の向上・人材の定着にもつながる重要な取り組みです。
自社の状況に合わせた対応を早めに進めることが、従業員との信頼関係を築く第一歩です。就業規則の改定や労使協定の締結など、「何から手をつければいいか分からない」という場合は、ぜひ専門家にご相談ください。
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