【2026年4月改正】在職老齢年金の基準額が65万円に|社労士が年金額・保険料の変更点を解説

2026年4月からの在職老齢年金基準額の変更を社労士が解説しているブログ。

【投稿日】 2026年2月7日
【この記事の主要キーワード】在職老齢年金 改正、在職老齢年金 基準額、65万円 引き上げ、令和8年度 年金改定、年金 いくら増える、2026年4月


2026年(令和8年)4月から、働きながら年金を受給しているシニア層に大きな影響を及ぼす制度改正が行われます。なかでも注目されるのが、在職老齢年金の基準額(支給停止調整額)が65万円に引き上げられることです。

「働くと年金がカットされるから」と、あえて仕事をセーブしている方も少なくないでしょう。今回の改正は、そうした不安を大きく解消するものとなります。

本記事では、在職老齢年金の基準額(支給停止調整額)の引き上げを中心に、令和8年度の年金額の改定国民年金保険料の変更について、分かりやすく解説します。

【この記事で解説していること】
  • 在職老齢年金制度の基本的な仕組み
  • 2026年4月からの基準額65万円への引き上げの内容
  • 月収と年金の合計がいくらまでなら年金がカットされないか
  • 令和8年度の年金額はいくら上がるのか
  • 国民年金保険料の変更点

※本記事は2026年2月時点の法改正議論や提案に基づいた内容を含みます。
 実際の制度変更は、今後の国会審議等により変更となる可能性があります。


目次

在職老齢年金制度とは

在職老齢年金制度とは、60歳以降も働きながら厚生年金に加入している方が、受け取る「老齢厚生年金」の額を調整される仕組みのことです。

具体的には、「賃金(総報酬月額相当額※1)」「老齢厚生年金の月額(基本月額※2)」の合計が一定の基準額を超えると、その超えた分の半額が年金から差し引かれます。

なお、調整の対象となるのは厚生年金の「老齢厚生年金(報酬比例部分)」のみです。1階部分にあたる「老齢基礎年金」(国民年金)はカットの対象外であり、全額受給できます。この点は誤解されやすいポイントですので、しっかり押さえておきましょう。

※1 毎月の賃金(標準報酬月額)+ 1年間の賞与(標準賞与額)を12で割った額。
※2 年金額(年額)を12で割った額。共済組合等からの老齢厚生年金も受け取っている場合は、
   日本年金機構と共済組合等からの全ての老齢厚生年金を合わせた年金額を12で割った額。

【出典参考】在職老齢年金の支給停止の仕組み(PDF)│日本年金機構


【2026年4月改正】在職老齢年金の基準額が65万円に引き上げ

これまでの基準額の推移

在職老齢年金の基準額(支給停止調整額)は、年度ごとに改定されてきました。

【基準額(支給停止調整額)の推移】

年度基準額(月額)
令和6年度(2024年度)50万円
令和7年度(2025年度)51万円
令和8年度(2026年度)65万円

令和8年(2026年)4月からは、基準額が一気に65万円へ引き上げられます。これにより、賃金と年金の合計が65万円以下であれば、年金は1円もカットされず全額受給できるようになります。

支給停止額の計算式

支給停止額(月の年金停止額)は、以下の計算式で求められます。

【計算式】

(総報酬月額相当額 + 基本月額 - 支給停止調整額)× 1/2

【出典参考】在職老齢年金の支給停止の仕組み(PDF)│日本年金機構

基準額が50万円から65万円に引き上がることで、この計算の結果が0円以下になる方が大幅に増え、年金カットの対象外となります。


具体的なシミュレーション

実際の影響を、具体例で見てみましょう。

例: 総報酬月額相当額が46万円、基本月額が10万円の方

【改正前(基準額51万円の場合)】
  • (46万円 + 10万円 - 51万円)× 1/2 = 2.5万円

  • 月2.5万円の年金が支給停止(年間30万円の減額)
【改正後(基準額65万円の場合)】
  • 46万円 + 10万円 = 56万円 < 65万円

  • 年金は全額受給(支給停止なし)

つまり、月収と年金の合計が65万円以下の方は、年金カットを心配する必要がなくなります。
これまで「働き損」を避けるために仕事をセーブしていた方にとって、大きな追い風と言えるでしょう。

※基準額(支給停止調整額)は2026年3月まで51万円、2026年4月から65万円

【出典参考】働きながら年金を受給する皆さま 在職老齢年金制度が改正されます(PDF)│厚生労働省


令和8年度の年金額はプラス改定

在職老齢年金の基準額引き上げに加えて、令和8年度は年金額自体も引き上げられます。

【令和8年度の年金額改定】

区分改定率月額前年度比
国民年金
(老齢基礎年金・満額)
+1.9%70,608円+1,300円
厚生年金
(標準的な夫婦2人分)
+2.0%237,279円+4,495円

物価変動率(3.2%)や名目手取り賃金変動率(2.1%)の上昇を反映した結果です。

ただし、「マクロ経済スライド」と呼ばれる調整の仕組みにより、物価上昇分がそのまま反映されるわけではありません。マクロ経済スライドとは、年金の支え手の減少などに合わせて給付水準を調整する制度です。この調整(▲0.1%〜▲0.2%)が入るものの、令和8年度はプラス改定となります。


国民年金保険料は月額410円アップ

年金の受給額が増える一方で、国民年金保険料も変動します。

令和8年度の国民年金保険料は、令和7年度の17,510円から410円増額し、月額17,920円となります。これは名目賃金の変動に応じた改定によるものです。

なお、厚生年金保険料率は18.3%で固定されています。ただし、基準額の引き上げをきっかけに収入を増やした場合、標準報酬月額が上がることで保険料の負担額も増える可能性があります。
※厚生年金保険の保険料計算式は「標準報酬月額×18.3%」(この保険料を会社と従業員で折半)

一方で、保険料が増えた分は将来受け取る年金額に反映されるため、長い目で見るとデメリットばかりではありません。


まとめ:2026年度の改正ポイント

2026年(令和8年)4月からの主な改正ポイントは、以下のとおりです。

在職老齢年金の基準額が65万円に引き上げ → 年金カットされる方が大幅に減少
年金額は約2%のプラス改定 → 国民年金・厚生年金ともに引き上げ
国民年金保険料は月額410円の増額月額17,920円に

トータルで見ると、働くシニア層にとっては有利な改正と言えます。

これまで年金カットを避けるために労働時間を調整していた方は、2026年4月以降の働き方を見直してみてはいかがでしょうか。また、高齢者を雇用する事業主の方にとっても、シニア人材の戦力をフル活用できる好機です。

ご自身の年金見込額や最適な働き方について詳しく知りたい方は、お近くの年金事務所や社会保険労務士にご相談ください。


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    この記事を書いた人

    社労士事務所ミアータ
    代表
    社会保険労務士
    加藤雅史

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