
毎年4月は新入社員の入社シーズンです。正社員はもちろん、パートタイマー・アルバイト・外国籍の方など、採用形態もさまざまです。
「被保険者資格取得届の書き方がわからない」「パートの社会保険はどこまで対象になるのか」「マイナ保険証への移行後、何か変わった手続きはあるのか」といった疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
本記事では、社会保険労務士の視点から、社会保険の加入手続きの基本から、2026年の適用拡大の最新情報、被保険者資格取得届の記入ポイント、イレギュラーな採用ケースへの対応まで、わかりやすく解説します。
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【この記事で解説していること】
- 社会保険の加入対象者と提出期限
- 2026年のパート・アルバイトへの社会保険適用拡大の最新情報
- 「被保険者資格取得届」の正しい記入ポイントとマイナ保険証対応
- 外国籍・60歳以上の再雇用など、イレギュラーなケースへの対応
- 手続きが遅れた場合の重大なリスク
※本記事は2026年5月時点の法改正議論や提案に基づいた内容を含みます。
実際の制度変更は、今後の国会審議等により変更となる可能性があります。
社会保険の加入手続きの基本|対象者と提出期限を確認しよう
加入対象者は正社員だけではありません
社会保険(健康保険・厚生年金保険)の加入対象は、正社員や法人の代表者にとどまりません。所定の要件を満たすパートタイマー・アルバイト・外国籍の従業員も加入対象となります。
加入要件に該当するかどうかは、週の労働時間や賃金額、企業規模などによって判断されます。採用形態を問わず、要件を一つひとつ確認することが大切です。
提出期限は「事実発生から5日以内」を厳守
社会保険の加入手続きは、入社日(事実発生日)から5日以内に行うことが義務付けられています。
提出先は管轄の年金事務所または事務センターで、①電子申請、②郵送、③窓口持参のいずれかの方法で提出できます。繁忙期であっても期限は変わりませんので、入社前から書類の準備を進めておくことが望まれます。
【2026年最新情報】パート・アルバイトの社会保険適用拡大
人事担当者が特に注目したいのが、2026年に予定されているパート・アルバイトへの社会保険適用拡大の動向です。
パート・アルバイトの現行の加入要件をおさらい
現在(2026年4月時点)、パートやアルバイトが社会保険に加入するためには、以下の要件をすべて満たす必要があります。
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【加入要件(2026年4月現在)】
- 所定内賃金が月額8.8万円以上
- 週の所定労働時間が20時間以上
- 学生ではないこと
- 従業員数51人以上
2026年10月に「月額8.8万円の賃金要件」が撤廃予定
最低賃金の上昇により、週20時間以上働けば自動的に月額8.8万円を超えるケースが増えてきたため、2026年10月をもって「月額8.8万円」の賃金要件が撤廃される見込みです。
つまり、週20時間以上働いていれば、賃金額にかかわらず加入要件に該当するようになります。パートタイマーの採用方針や労働時間の管理を、今のうちに見直しておくことをおすすめします。
企業規模要件の引き下げにより、適用対象がさらに拡大(2027年・2029年)
社会保険の適用対象となる企業の規模要件が、段階的に引き下げられます。これにより、より多くの企業が社会保険の適用拡大の対象となります。「まだうちの会社は対象外」と思っていた企業も、早めに準備を進めることが重要です。
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【企業規模要件の拡大スケジュール】
- 現在 :51人以上
- 2027年10月~:36人以上
- 2029年10月~:21人以上

【実務担当者必見】「被保険者資格取得届」の記入ポイント
実務担当者が特に迷いがちなのが、「被保険者資格取得届」の正しい書き方です。記入漏れや誤記があると手続きが遅れる原因となりますので、ポイントを押さえておきましょう。
マイナンバーを記入すれば住所欄が省略可能
「被保険者資格取得届」に個人番号(マイナンバー)を記入した場合、従業員の住所欄の記入が不要になります。書類作成の時短につながる重要なポイントです。
また、「報酬月額」欄には、基本給だけでなく、通勤手当・各種手当(通貨)のほか、食事・住宅などの現物給与も合算して記入する必要があります。給与明細の項目を一つひとつ確認しながら記入することをおすすめします。

マイナ保険証を持たない従業員には「資格確認書」の発行チェックを
2024年12月以降、従来の健康保険証は新規発行されなくなりました。現在の基本は「マイナ保険証」(マイナンバーカードを健康保険証として利用する仕組み)です。
マイナンバーカードを持っていない、または保険証利用登録を済ませていない従業員が医療機関を受診するためには、「資格確認書」が必要となります。
「被保険者資格取得届」には「資格確認書 発行要否」欄があります。該当する従業員については、「□ 発行が必要」に忘れずチェックを入れるようにしましょう。
また、協会けんぽ等への加入手続きが完了すると、全員に「資格情報のお知らせ」が発行されます。手続き後、最短で平日2日程度で事業所に届きますので、確実に従業員へお渡しください。

担当者が迷いがちなイレギュラーケース対応ガイド
通常の正社員採用以外にも、さまざまなケースが想定されます。「これはどうすればよいのか?」と迷いがちな場面をまとめました。
新入社員に扶養家族がいる場合
新入社員に扶養家族がいる場合は、「被保険者資格取得届」に加えて「健康保険被扶養者(異動)届」の提出が必要です。
マイナンバーを記入して情報照会を行う場合、収入証明書などの添付を省略できるケースがあります。ただし、被扶養者が別居している場合は、仕送りの事実がわかる書類(通帳のコピー等)の添付が必要となりますのでご注意ください。
外国籍の従業員を採用した場合
加入要件を満たす方であれば、国籍を問わず被保険者となります。ただし、マイナンバーと基礎年金番号が結びついていない場合などは、資格取得届と併せて「厚生年金保険被保険者ローマ字氏名届」の提出が必要になることがあります。
60歳以上の従業員を退職後すぐに再雇用する場合
定年退職後、間をおかずに再雇用(継続雇用)する場合は、同日付で「資格喪失届」と「資格取得届」を同時に提出する「同日得喪」という手続きが必要です。
就業規則・退職辞令・雇用契約書の写し、または事業主の証明書などの添付書類も必要となります。
70歳以上の従業員を採用した場合
70歳以上の方は厚生年金保険の被保険者にはなりませんが、厚生年金保険の適用事業所に勤務し、かつ老齢年金の受給権がある方については、「厚生年金保険 70歳以上被用者該当届」の提出が必要です。これは在職老齢年金制度による年金額の調整(支給停止)を行うための届出で、70歳以上でも在職中であれば報酬に応じた年金の支給停止が適用されます。見落とされがちな手続きのひとつですので、注意が必要です。
手続きの遅れが招く重大なリスク
社会保険の加入手続きを後回しにすることは、企業・従業員の双方にとって大きなリスクにつながります。
遡及しての保険料徴収
届出が漏れていた場合、入社時(事実発生日)にさかのぼって保険料を支払うことになります。時間が経つほど未払い期間が長くなり、企業・従業員双方の負担が大きくなるおそれがあります。
年金受給者の場合、年金の返納が発生するケースも
老齢厚生年金を受給している従業員の届出が遅れた場合、本来停止されるべきだった年金が受給されてしまい、後から返納を求められるという重大なトラブルに発展する可能性があります。
資格取得届は事実発生日から5日以内が提出期限です。届出漏れを防ぐためにも、入社が決まった段階で必要書類の準備を進めておきましょう。
まとめ:新入社員の社会保険手続きは「早め・正確」が鉄則
4月の入社シーズンは、社会保険の手続きが一気に集中します。「事実発生から5日以内」という期限を守ること、記載漏れのない正確な書類を提出することが、特に重要です。
また、2026年10月の社会保険適用拡大に向けた準備も、今から進めておくことが大切です。イレギュラーなケースや法改正への対応に不安を感じる担当者の方は、ぜひ社労士への相談をご検討ください。
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