日付: 2026年01月27日
キーワード: 130万円の壁、被扶養者認定、健康保険、社会保険

2026年(令和8年)4月から、社会保険の「130万円の壁」に関する判定方法が大きく変わります。残業代を控えて年収を抑えている方にとって、朗報と言えるニュースです。
(※19~22歳の方は150万円が基準となりますが、以下では130万円を基準に解説します)
この改正により、労働条件通知書や雇用契約書に記載された、契約上の収入で扶養認定が判断されることになり、結果として残業代が実質的にカウントされなくなる仕組みが始まります。
「実質的な年収の壁の引き上げ」とも言われるこの新ルールですが、実は「ルールが変わる」というよりは「判定の仕方が変わる」という内容です。何が変わり、何が変わらないのか、社会保険労務士の視点から詳しく解説します。
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【この記事で解説していること】
- 2026年(令和8年)4月から始まる「労働条件通知書」等による新・判定ルールとは
- 契約上の賃金で判定する仕組みと残業代の扱い方
- 「事業主証明制度」の恒久化により残業で130万円を超えても扶養を継続できる理由
- 手続きで注意すべき添付書類と事務負担のポイント
- 税金の壁との違いや連続2回制限などの重要なルール
※本記事は2026年1月時点の法改正議論や提案に基づいた内容を含みます。
実際の制度変更は、今後の国会審議等により変更となる可能性があります。
2026年4月スタート!「労働条件通知書」等による新・判定ルールとは
これまで「130万円の壁」(19~22歳は150万円)の判定は、直近の給与明細や課税証明書など、実際の「実績」をベースに行われることが一般的でした。
しかし、2026年(令和8年)4月1日からは、より「契約内容」を重視する仕組みへと移行します。
契約上の賃金で判定する
最新の通知によると、給与収入がある場合の扶養認定は、「労働条件通知書・雇用契約書」などの労働契約内容が分かる書類に記載された賃金から見込まれる年間収入で判断されることになります。
「労働条件通知書・雇用契約書」には通常、基本給や固定的な手当が記載されます。ここに記載された金額が130万円(19~22歳は150万円)未満であれば、原則として被扶養者として認められるようになります。
残業代の影響
臨時で発生する「所定外労働(残業)」は、通常、労働契約上の「見込み」には含まれません。
そのため、認定時の計算からは事実上除外される形となります。つまり、契約上の基本給と固定手当の合計が130万円(19~22歳は150万円)未満であれば、残業代を気にせずに働けるようになるということです。
予期せぬ残業で130万円を超えても大丈夫?「事業主証明制度」の恒久化
契約上の収入が130万円(19~22歳は150万円)未満であっても、人手不足などで「結果的に」年収が130万円(19~22歳は150万円)を超えてしまうケースがあります。
このような場合に対しても、非常に強力な対策が「恒久化」されました。
「一時的な増収」なら扶養継続が可能
「年収の壁・支援強化パッケージ」の一環として導入されていた「事業主の証明による被扶養者認定の円滑化」という措置が、2025年(令和7年)10月1日付で「恒久的な取扱い」へ変更されました。
この措置により、もし年収が130万円(19~22歳は150万円)を超えてしまっても、事業主が「これは人手不足による一時的なものです」などと証明すれば、引き続き扶養にとどまることができます。
対象となる理由
人手不足による労働時間延長(残業)や、一時的な繁忙手当などが想定されています。
つまり、一時的に業務が忙しくなって残業が増えた場合でも、事業主の証明があれば扶養から外れる心配がないということです。
なぜ「実質的に残業代を含まない」と言えるのか?
「2026年(令和8年)4月からの新判定ルール」と「事業主証明制度の恒久化」の2つを組み合わせると、以下のような流れになります。
①認定時(入り口)
「労働条件通知書・雇用契約書」で判定されます。この時点では、残業代は見込まれないため、契約上の年収が130万円(19~22歳は150万円)未満ならスムーズに認定されます。
②認定後(運用)
実際に働いて残業代が増え、結果的に130万円(19~22歳は150万円)を超えても、それが一時的なものであれば「事業主の証明」で扶養を維持できます。
2段構えの仕組み
この2段構えの仕組みにより、働く側にとっては、「残業代が原因で扶養を外れる」というリスクがこれまで以上に低くなります。
つまり、実質的に残業代が壁の外に置かれる状態が続くことになります。残業を控える必要がなくなり、働きたいときに働きやすくなるということです。
注意点:手続き(添付書類)はむしろ増える?
今回の変更で「実質的に壁が緩和される」一方で、気をつけなければならないのが事務手続きの負担です。
提出書類の変更
これまでは給与明細などの提出で済んでいたケースでも、今後は「労働条件通知書・雇用契約書」が必須となります。
また、収入が130万円(19~22歳は150万円)を超えた場合には、引き続き「事業主の証明」を用意しなければなりません。
書類準備が重要
「制度が緩くなったから何もしなくていい」わけではなく、「正しく証明するための書類を揃えること」がこれまで以上に重要になります。
企業の人事労務担当者は、従業員からの依頼に応じて、「労働条件通知書・雇用契約書」や「事業主の証明」を速やかに準備できる体制を整えておくことが望まれます。
その他の重要なルールと制限
ただし、残業を自由にできるようになるといっても、無制限に働いて良いわけではありません。以下のルールは引き続き適用されます。
連続2回(2年)の制限
「事業主の証明」による特例は、原則として連続2回(2年)までが上限です。
3年連続で130万円(19~22歳は150万円)を超える場合は、恒常的な収入として扱われ、扶養から外れることになります。
収入逆転の禁止
被扶養者の収入が、扶養している人(被保険者)の収入を上回る場合は、認定が取り消されます。
例えば、夫が被保険者(扶養する側)で妻が被扶養者(扶養される側)の場合、妻の年収が夫の年収を超えると扶養から外れます。
税金の壁は別
この緩和策はあくまで「社会保険(健康保険・年金)」の話です。
所得税などの税制上の扶養については、これまで通り残業代を含めた全収入で計算されるため注意してください。社会保険と税金の壁は別々に考える必要があります。
【関連記事】106万円の壁が崩壊?2025年から変わる「年収の壁」と「社会保険の新ルール」を解説
まとめ:これからは「契約」と「証明」をセットで考えよう
2026年(令和8年)4月からの「130万円の壁」は、実質的に「契約上の収入が130万円(19~22歳は150万円)未満なら、残業代による一時的な超過は許容される」という、働く側にとって自由度の高いものになります。
押さえるべき2つのポイント
①契約時に、「労働条件通知書・雇用契約書」の内容が130万円(19~22歳は150万円)未満であることを確認する
新しく働き始める際や、契約更新の際には、「労働条件通知書・雇用契約書」に記載された年収が130万円(19~22歳は150万円)未満になっているか必ず確認しましょう。
②もし残業で超えそうな時は、会社に「事業主の証明」を書いてもらう準備をする
繁忙期などで残業が増え、年収が130万円(19~22歳は150万円)を超えそうな場合は、早めに会社の担当者に相談し、「事業主の証明」を準備してもらいましょう。
手取りを減らさずに希望に沿った働き方を
上記の2点を押さえて、手取りを減らさずに希望に沿った働き方を実現しましょう。
パートの方は特に、自身の状況に合った選択が可能です。まずは現在の勤務条件を整理し、どの働き方がご自身にとって最適かを検討してみてください。
社会保険・年収の壁について相談するなら、社労士事務所ミアータへ
栃木県宇都宮市の社労士事務所ミアータでは、「お客様の”迷う時間”を少しでも減らしたい」という想いを持ち、社会保険手続き・就業規則の作成・給与計算・助成金申請など、社会保険や労務管理の課題に幅広く対応しています。
「130万円の壁」の新ルールへの対応や、従業員の扶養認定に関する手続きでお困りの際は、お気軽にご相談ください。
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